審査指南

実用的なQ&A & 法律法規

1. 新規性喪失の例外の適用

Q:どのような場合に新規性喪失の例外の適用を受けられますでしょうか?

A:中国では、下記のような規定があり、所定の場合にのみ、新規性喪失の例外適用を受けることができます。

〔専利法 第24条〕

      専利を出願する発明創造について、出願日前6カ月以内に以下の状況のいずれかがあった場合、その新規性を喪失しないものとする。

    (一)中国政府が主催する又は認める国際博覧会で初めて展示された場合。

    (二)規定の学術会議、あるいは技術会議上で初めて発表された場合。

    (三)他者が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合。

     上記(一)の国際博覧会は、次の4つです。

万国博覧会

国際園芸博覧会

ミラノ・トリエンナーレ(装飾芸術の美術展覧会)

現代建築博覧会

上記(二)は、中国国内における会議であることが前提となります。

2. 情報提供制度

Q:匿名にて行うことが可能でしょうか?

匿名にて行うことで何かデメリットはあるでしょうか?

A:匿名で情報提供を行うことが可能であり、デメリットはありません。

Q:実体審査において、どの程度の審査影響があるでしょうか?

A:弊所実務によれば、半分以上の情報提供において提出した証拠が採用されていました。統計の件数が少ないのですが、効果はあると考えられます。また、情報提供の時期が早いほどよいと考えられますが、審査意見通知書が出された後でも効果がある場合があるといえます。

3. 秘密審査

Q:中国で完成された発明を外国に出願する場合に、どのようなパターンがありますか?

A:次の2つのパターンがあります。

(1)まず外国に出願する場合

(2)まず中国に出願をした後、外国に出願する場合

各パターンについて、具体的な手続きを説明いたします(専利法実施細則第8条に対応)。

(1)まず外国に出願する場合

 外国出願する前に、技術説明書(明細書と同様のもの)を提出し、中国専利局に秘密審査請求を行います。

(2)まず中国に出願をした後、外国に出願する場合について中国出願の後、中国専利局に秘密審査請求を行います。

 この場合、既に中国出願を行っているため、上記技術説明書の提出は不要です。  上記のいずれの場合も、秘密審査請求後、4ヶ月以内に「秘密審査通知書」を受領しない場合、外国に出願できます。つまり、4ヶ月以内に何の通知も受けなければ、外国に出願できます。

「秘密審査通知書」を受領した場合は、その受領から2ヶ月以内に「秘密審査決定通知書」を受領しない場合、外国に出願できます。

また、中国専利局に対してPCT出願を行った場合には、秘密審査請求が行われたものとみなされます。

4. マルチのマルチの不備

Q:マルチのマルチの不備をいつ解消すれば良いでしょうか?

A:一般的に、出願時ではなく、OA応答時に解消するのがよいと考えられます。  その理由は、次のとおりです。

①マルチのマルチの不備単独で拒絶理由通知が指摘されることはほぼないので(余計な拒絶理由通知が1回増えるということはない)、

 OA応答時に他の拒絶理由を考慮しながら、その他の拒絶理由とともにそのマルチのマルチの不備を解消すれば足りる。

②出願時の官費は、請求項の数自体が10以下であれば同額であり、

費用面でも、出願時にマルチのマルチを解消する必要がない。

なお、OA時に請求項の数が増えても官費には影響がないので、OA時に自由度をもってマルチのマルチを解消できる。

(状況によってはマルチのマルチをばらした結果として請求項の数が11以上になるが、官費を別途支払う必要がない)

③弊所では、OA応答時にマルチのマルチの不備があるにもかかわらず審査官からそれを指摘されていない場合、クライアントに報告している。

④マルチのマルチの不備は無効理由ではない。

5.審査官の審査周期

① 第1回審査通知の発行について

実際上、実体審査に入る旨の通知が発行されてから、1年~1年半で、第1回審査通知が発行される(分野によって異なります)。

審査請求後、3ヶ月間は、自発補正の期間なので、この期間中は、審査しない。

審査官のシステムにおいて、審査官は、自分が審査したい件数を入力します。すると、

システムが自動的にその件数分の案件を審査官に分配します。審査官は、分配されてから

3ヶ月以内にその件を処理しなければならないというルール。

② 第2回以降の審査通知の発行について

審査官は、出願人が応答した日から4ヶ月以内に、処理しなければならないというルール。

寄り添い、知的財産権を守ります

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